遊戯室 フランセス・ヘガティ

遊戯室 (ハヤカワ ポケット ミステリ)

遊戯室 (ハヤカワ ポケット ミステリ)


[ストーリー]
周りから理想の夫婦だと思われていたデイヴィッドとキャサリンだったが
実際はそうではなかった。
デイヴィッドは自分の思い通りにならないと気がすまないタチで
キャサリンは彼の言うままに従う生活だった。


デイヴィッドは娘のジャネッタのことを、自分の子供ではないと疑っていた。
躾という名の罰はだんだん酷くなっていくばかりで
やがては遊戯室に閉じ込めて、食事も与えないようになった。
キャサリンは、ただただ従うしかなかった…。




[所感]
日常生活が続いて、ミステリとしての展開がなくて
やや退屈に感じた。
娘が徐々に虐待されていくサスペンス。
普通の小説としてはぜんぜんアリだと思う。




[詳細]
遊戯室


 

上高地の切り裂きジャック 島田荘司

上高地の切り裂きジャック (講談社ノベルス)

上高地の切り裂きジャック (講談社ノベルス)


[ストーリー]
上高地で映画の撮影を行っていた女優の細川みどりが
無残な死体として発見された。
遺体にはレイプされた痕跡があり、しかも、子宮や内臓が切り取られるという
惨状だった。


膣に残った体液から、彼女と付き合っていた牧原信吾という医学生が浮かび上がる。
だが、死亡推定時刻に横浜にいて、犯行を犯すことは不可能だった…。




[所感]
二編の短篇が収められた本作品。
相変わらず、御手洗は無茶をするなぁと思いつつも、
そのハラハラ感で愉しませてくれる。
表題作は、内臓を切り取ると言う猟奇殺人に対する合理的な理屈付けは
理解できるけど、トリックありきで、スマートさに欠けるように感じた。





[詳細]
上高地の切り裂きジャック


 

ベルの死 ジョルジュ・シムノン

ベルの死 (ハヤカワ・ミステリ 327)

ベルの死 (ハヤカワ・ミステリ 327)


[ストーリー]
その夜、スペンサー・アシュビイは妻のカード遊びの誘いを断り、
部屋で一人で轆轤を回していた。
モーター音が大きくて、帰ってきた下宿人のベル・シャーマンの
言葉は彼に届かず、『おやすみなさい』の口の動きが読み取れる程度だった。
一夜明けると、そんなベルが淫らな姿で殺されていた。
ベルはとても美しく、妻はアシュビイが殺したのではないかと疑っていた……。




[所感]
犯人当てのようなサスペンス調で物語が進むので本格ミステリかと思ったら
最後に意外な展開が待ち受けていて驚いた。
小説としては読み応えがあるかもしれない。




[詳細]
ベルの死


 

三毛猫ホームズの降霊会 赤川次郎

三毛猫ホームズの降霊会 (カッパノベルス)

三毛猫ホームズの降霊会 (カッパノベルス)


[ストーリー]
菱倉良子の娘は3年前に何者かに殺され、犯人は見つからず仕舞いだった。
それが映画館で偶然有名な霊媒師・柳井幻栄に出会い、
娘の霊を呼び出してもらうことになった。
片山兄妹とホームズもこれに同行することになる。


一方、菱倉家の三男・哲也が取ったホテルで殺人事件がおきた。
被害者は哲也の勤めるTV会社のタレントだった。




[所感]
はっきり言って、話が全然まとまっていない印象を受けた。
事件が多発するのはいいが、ミステリとして目指すべき方向性がなく
ただ漫然とたれながし、こじつけられているように感じた。
また、霊媒で本当に犯人を導き出すのもどうかと思った。




[詳細]
三毛猫ホームズの降霊会


 

スイッチを押すとき 山田悠介

スイッチを押すとき (角川文庫)

スイッチを押すとき (角川文庫)


[ストーリー]
2008年に青少年自殺抑制プロジェクトが発足した。
それは、無作為に選ばれた5歳の少年少女の心臓に電子機器を埋め込み、
スイッチを押せば心臓が止まるというしくみをつくり、10歳から施設に軟禁して
青少年の自殺に至るデータを採取するプロジェクトだった。


監視員の南洋平は異動を命じられ、横浜センターで働くことになった。
そこには7年間もスイッチを押さなかった異例の子供たちが4人も生活していた。
南は、その中の一人の死をきっかけに、国に復讐してやろうと誓う。




[所感]
スイッチを押せば死ぬという異様な状況。
普通に生活できず軟禁されている少年たちを施設から連れ出し
それぞれ会いたかった人たちに再会させるというストーリーが独創的に感じた。




[詳細]
スイッチを押すとき


 

じゃじゃ馬ならしに気をつけて ギリアン・ロバーツ

じゃじゃ馬ならしに気をつけて (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

じゃじゃ馬ならしに気をつけて (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)


[ストーリー]
英語教師のアマンダ・ペッパーは、校内バザーの準備中に奇妙な本を見つける。
それは女性への虐待に関する本で、文章にアンダーラインが引かれ、”彼はもうすぐ私を殺す”など、
家庭内暴力を示す書き込みがされていた。
アマンダはその本の持ち主を探して救い出したい思いで、持ち主を探し始めた。
だが、彼女の家を訪ねてみると、なんとそこには彼女の夫の死体が転がっていた。




[所感]
読みやすくてユーモアに富んだサスペンス。
展開が速くて飽きることなく読み進められます。
暴走美味に奮闘するアマンダの姿が楽しくて、どんどん読み進めてしまった。




[詳細]
じゃじゃ馬ならしに気をつけて


 

朱色の研究 有栖川有栖

朱色の研究 (角川文庫)

朱色の研究 (角川文庫)


[内容]
教え子から2年前に周参見で起きた殺人事件の相談を受けた臨床犯罪学者の火村は
事件関係者を訪問したあと、推理作家の有栖川のマンションに宿泊していた。
すると、明け方に奇妙な呼び出しの電話を受ける。
指示どおり夕陽丘のマンションを訪れると、
そこには周参見の事件の関係者が死体となって待ち受けていた。


まるで火村に挑戦するような不敵な犯人。
夕陽丘の事件をよそに、火村と有栖川は2年前の事件の舞台となった周参見の別荘へと向かう。




[所感]
まずトリックがおもしろいと感じた。
それでいて、きちんとしたロジックの上に成り立っており、
謎解きされて、引っかかっていた違和感が解決される。
きれいな本格ミステリなように感じた。


犯行動機の毒々しさもちょっとおもしろい。




[詳細]
朱色の研究