乱鴉の島 有栖川有栖
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/21
- メディア: 単行本
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[ストーリー]
骨休みに三重県の「鳥島」に向かった火村と有栖川は、渡船の手違いで「烏島」という孤島に辿りついてしまった。
島には、詩人の海老原瞬と、彼を慕う者達が集っていた。
帰りの船の目処は立たないため、ひとまず島で唯一寝泊りできる海老原の家に厄介になることになるが、彼らは闖入者を快く思っていないようだった。
そして、クローン技術でマスコミを賑わせた藤井継介を目当てに、突如ヘリで舞い降りたIT社長の初芝は、「自分のクローンを作って欲しい」と藤井に迫った。
藤井にクローン人間を作ってもらう目的で、こんな人里はなれた孤島で密会を開いているのではないかと初芝は語った。
そんな二日目のある日、初芝が寝どころとしている家で、管理人の木崎が撲殺されて死んでいるのが発見された。当の初芝の姿はなく、逃走して島のどこかに潜んでいると考えられた。
電話線も切断され、警察にも連絡できないまま、初芝の襲撃に備えて寝ずの番をする火村と有栖川。
そして、烏たちの奇声が知らせる厳かなる夜明け。
断崖の洞窟には烏についばまれた初芝の死体が転がっていた……。
[所感]
クローン人間という未知の技術に想像力を膨らませ描いたユニークなミステリだったように感じた。
しかし反面で、「殺人事件の謎」と「島に集まった人々の謎」の両方が屹立してしまい、後者にインパクトがあったため、殺人事件がおまけとして解き明かされたような形に扱われていることが残念だった。
[詳細]
乱鴉の島