闇の喇叭 有栖川有栖

闇の喇叭 (ミステリーYA!)

闇の喇叭 (ミステリーYA!)


[ストーリー]


 3発目の原爆が京都に落ち、終戦を迎えた日本。
 ソ連支配下に置かれた北海道は日本から独立し、日本は南北に分断されていた。


 徴兵制が敷かれ、探偵行為の一切を禁じられた平世21年。
 北のスパイと思われる男が殺された。
 前後して不審な女の目撃情報が寄せられる。


 そして、北のスパイを探していた男の死。


 探偵を両親に持つ、ソラの血が騒がないわけはなかった……。




[所感]


 もう一つの戦後という大胆な舞台設定。
 そういう舞台を作るからには、その舞台でしか使えないトリックで
読者を楽しませてくるだろうと予想した。


 でも、重要なのはその点ではないと思う。
 探偵行為が禁止され、探偵狩りが行われる世界で、不遇にあえぐ探偵の生き様を描き、
推理小説に職業探偵が必要か?』という、いわゆる後期クイーン問題の一角に
作者なりの解答を見出そうとする<始まりの物語>ではないだろうか!?



[詳細]


闇の喇叭